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Logistics Architecture -物流が建築、都市を変えていく-(20)

第20回フォーラム「Logistics Architecture -物流が建築、都市を変えていく-」は、建築家の畑友洋氏と山雄和真氏を講師として招いた。

今回のテーマは、ウォーターフロント・エリアの環境整備とにぎわい空間の創出である。

畑氏は、神戸市の中心市街地に近い国有地と市有地である新港第二突堤の港湾緑地内につくられた広場と飲食・物販施設からなる「TOTTEI 緑の丘」(2025年に完成)について講演した。

「TOTTEI 緑の丘」は、みなと緑地PPP事業(港湾環境整備計画制度)の国内第一号である。みなと緑地PPPは2022年に制定された制度であり、港湾緑地の長期貸付けを受けた民間事業者が港湾緑地に飲食、物販などの収益施設を整備・運営し、その収益の一部で港湾緑地・施設の維持管理を行う。

神戸市には、六甲山の山裾にあるJR新神戸駅と中心市街地の南に位置する新港エリアの南北を結ぶ都市軸があり、海沿いには新港エリアの他に、メリケンパーク、ハーバーランドのエリアがある。

新港エリアは4つの突堤からなり、神戸市はその新港一第突堤と第二突堤を、マリーナを取り囲む水と緑の空間として再整備する計画を進めている。

「TOTTEI 緑の丘」は第二突堤の南端に位置しており、敷地の北側(山側)の隣接地にはジーライオンアリーナ神戸(一万人規模のアリーナ)が建っている。

このような敷地条件のなかに、海と山を一望できる場所をつくることを試みている。広場を一枚のシートに見立て、アリーナを避けた山側(北東)の方位の対角線上の一端をつまみあげ屋根とし、その上に広場と一体となった丘をつくっている。そしてその下を飲食・物販の施設としている。

山雄氏は、小樽市の港の基部に建つ観光情報センターおよび物販店舗の複合施設である「小樽国際インフォメーションセンター」(2024年に完成)について講演した。

小樽国際インフォメーションセンターは、みなとオアシス小樽の代表施設である。みなとオアシスは2003年に制定された制度であり、港を中心とした地域の活性化のために、地域住民の交流や観光振興の取組みが継続的に行われる施設が登録される。全国で160か所を超える登録がある。

小樽港には6つのふ頭がある。そのひとつの第3号ふ頭はJR小樽駅の正面方向に位置し、それらを結ぶ都市軸がある。第3号ふ頭はクルーズ客船の寄港実績があり、そこを10万トン級の国際旅客船のふ頭として機能整備し、クルーズ振興と第3号ふ頭および周辺エリアをにぎわいある交流空間とする再開発計画が進んでいる。

小樽国際インフォメーションセンターの敷地は第3号ふ頭の基部に位置している市有地であり、「港を巷(ちまた)に」をコンセプトに、このエリアを市民のための居場所として再整備する第一弾のプロジェクトである。

インフォメーションセンター利用者の意識が第3号ふ頭に向くように、その方向に構造のグリッドを45度の角度で振って配置している。1階は観光情報センターと物販店舗であり、2階は小屋型の事務所・スタッフ休憩室と一般開放されている屋上デッキからなる。小屋型は倉庫の風景を想起させ、屋上デッキから港の風景を見ることができる。

中崎 隆司(建築ジャーナリスト・生活環境プロデューサー)

【プロフィール】
畑友洋(建築家、畑友洋建築設計事務所代表、神戸芸術工科大学准教授):
1978年兵庫県生まれ。2001年京都大学工学部建築学科卒業。03年京都大学大学院工学研究科修了。03〜04年高松伸建築設計事務所勤務。05年畑友洋建築設計事務所設立。13年~京都大学非常勤講師。17年~神戸芸術工科大学准教授。23年~神戸大学非常勤講師。

山雄和真(建築家、waiwai共同創業者/パートナー、東京事務所代表):
1978年京都府出身。2001年京都大学卒業、卒業設計最優秀賞。2004年東京大学大学院修士課程修了。同年よりCAt(C+A tokyo)所属、2008年より同シニアアソシエイト。CAtでの主な担当作品に、「宇土市立宇土小学校」(村野藤吾賞、日本建築学会作品選奨、九州建築賞、AACA賞)、「University of Central Asia, Naryn Campus Library」等。
2013年、ギングリッチ一級建築士事務所設立、同代表。 2018年より、ドバイのibda designと共にwaiwaiとして改組。同ファウンディング・パートナー、東京事務所代表。日本と中東を拠点に、アジア各国で個人住宅から大規模開発まで、様々なプロジェクトを手掛ける。

中崎隆司(建築ジャーナリスト&生活環境プロデューサー):
生活環境の成熟化をテーマに都市と建築を対象にした取材・執筆ならびに、展覧会、フォーラム、研究会、商品開発などの企画をしている。著書に『建築の幸せ』『ゆるやかにつながる社会-建築家31人にみる新しい空間の様相―』『なぜ無責任な建築と都市をつくる社会が続くのか』『半径一時間以内のまち作事』などがある。

26.03.24

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