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Logistics Architecture -物流が都市と建築を変えていく-(3)

Logistics Architecture研究会フォーラムの第3回はインテリアデザインと社会学の専門家が登壇した。

オフィスと商業施設を中心としたインテリアデザインを得意とするSIGNALの徳田純一氏と新海一朗氏は、「物流施設における人のための空間のデザイン」をテーマに、物流不動産運用大手のグッドマンの大規模物流施設の外観カラーリングやエントランスまわり、アメニティエリアのデザインについて講演した。

SIGNALのふたりが重視したのが「人のためのデザイン」「使い勝手を考慮したプランニング」「働いていることを誇りに感じる物流施設らしいデザイン」だ。
 
外観のカラーリングにコーポレートカラーを採り入れ、エントランスまわりは工業的な素材の多用し、天井高を活かした大胆な空間構成を意識して、力強いデザインにしている。そしてアメニティアエリアはもちろん、ドライバー控室、トイレなどまで居心地のいい空間をつくることを目指したと語った。

日本女子大学准教授で社会学者の田中大介氏は「ロジスティックス化する社会」をテーマに、東京臨海部の歴史と物流の位置づけの展開、そして景観と経験のありかたについて講演した。
 
江戸時代の東京臨海部は江戸湊と言われ、日本橋や京橋を中心にした河岸と運河の都市であり、繁華街と物流拠点は密接につながっていた。
近代になると機能が重視され、ゾーニングによって、商業・都心と物流拠点が分離していった。いわば表舞台と舞台裏が生まれたのである。
 
現代の社会は情報化によってどこかにでかけて商品や情報を手に入れる必要がなくなったにもかかわらず、ある場所に人が集中してしまうということが起きている。またインターネットが普及するほど大量につながることができ、集まれる巨大な空間のニーズが増えてくる。それは東京臨海部にも巨大な建築物を生み出している。
東京港はコンテナ貨物の物流拠点としての重要性も高まっている。ガントリークレーンは東京臨海部の景観となり、物流拠点がインフラ観光の対象になっている。
表舞台と舞台裏が錯綜し、臨海部に新たな風景と経験が展開されているのだ。
そして「都市は物財、情報、人が集まって、散っていくようなハブのような場所であり、もともとロジスティックスの戦略拠点だった。近代都市は物流を舞台裏にしてしまったが、現代都市が物流を表舞台化した時にロジスティックスのダイナミックさとともに都市空間をつくっていくのかが重要になっていくと思っている」とまとめた。

都市は人、もの、金、情報、エネルギーが集積している社会空間である。人の活動に合わせて様々な建築空間がつくられる。経済合理性が開発、再開発の場所を選んでいく。
都市の開発、再開発のどちらにおいても大規模化・複合化が進んでいる。建築においても大規模化・複合化が強いベクトルになっている。
情報化社会における物流はシステムとしての「Logistics Architecture」が都市の隅々まで浸透し、生活様式を変革している。建築としての「Logistics Architecture」では人のための空間としてつくり変える試みが始まり、また都市イフラとして新しい景観をつくっている。
 
中崎 隆司(建築ジャーナリスト・生活環境プロデューサー)

徳田純一(SIGNAL代表):
1979年東京都生まれ。千葉大学大学院デザイン専攻工学修士課程修了、HDKヨーデポリ大学(スウェーデン)デザイン学修士課程修了。
System-O Design Associatesにて外資系オフィスのデザインに携わる。スウェーデンに渡り、インテリア、家具デザイナーとして活動後、SIGNAL Inc.を共同設立。

新海一朗(SIGNAL代表):
1979年東京都生まれ。千葉大学大学院デザイン専攻工学修士課程修了。
在学中よりインテリア・グラフックデザイナーとして活動。インテリアの設計・施工会社にてプランナーとして各種商業施設や公共空間のプロデュースに携わり、独立後SIGNAL Inc.を共同設立。

田中大介(日本女子大学 准教授):
1978年大阪府生まれ。博士(社会学)。筑波大学大学院人文社会科学研究科博士課程修了。近現代の都市における公共交通、消費施設、情報環境の歴史的展開や現代的様相を社会学的に研究している。近年は東京臨海部の再開発と物流施設が作り出す都市空間の分析に取り組んでいる。編著に『ネットワークシティ―現代インフラの社会学』、共著に『モール化する都市と社会』、『無印都市の社会学』など。

中崎隆司(生活環境プロデューサー・建築ジャーナリスト):
生活環境の成熟化をテーマに都市と建築を対象にした取材・執筆ならびに、展覧会、フォーラム、研究会、商品開発などの企画をしている。著書に『建築の幸せ』『ゆるやかにつながる社会-建築家31人にみる新しい空間の様相―』『なぜ無責任な建築と都市をつくる社会が続くのか』『半径一時間以内のまち作事』などがある。

18.12.01

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